歯医者さんより詳しくなる入れ歯の話
 今回は「入れ歯安定剤」のお話です。

よく患者さんから「入れ歯安定剤はあまり良くないんですよね」という質問を受けます。基本的に歯医者さんは、この入れ歯安定剤の使用に関しては、「骨がやせてくる」、「歯ぐきが柔らかくなる」、「噛み合せが安定しなくなる」等の理由で否定的意見が多いです。そのため、結果的には使わない方が良いというのが多くの歯医者さんの考え方です。
 しかし、不思議なことに調べてみると、「骨がやせてくる」、「歯ぐきが柔らかくなる」というものに関しては、はっきりとこれらを証明できる科学的データー、論文はありません。

歯医者さんより詳しくなる入れ歯の話
 
  最近、テレビで某歯科大学の教授が、入れ歯安定剤と骨がやせるお話をされていたので、問い合わせたところ、40年位前の論文と、日本のある学会誌を基にお話をされていたということを聞きました。さらに製造元に伺っても、今まで、入れ歯安定剤と顎の骨がやせてくるとか、歯ぐきが柔らかくなるといった、因果関係の明らかな報告は一例もないそうです(ちなみに製造元には、「私は歯科医師ですが、注意書きに歯ぐきがやせるとありますが、本当にそんな例が一例でもあるのですか?あれば大変興味があるのですが」と尋ねました)。
私は業者の回し者ではありませんが、入れ歯も、入れ歯安定剤自体も研究開発されており、組成も一昔前のものとは異なっています。経験的医学も無視はできませんが、必要以上に入れ歯安定剤を悪者にすることには疑問を感じています。

  私も使うことを積極的にはお勧めしませんが、言われているほど怖いものではないと考えています。インプラントが嫌で、上顎を総入れ歯にして、できるだけコンパクトな設計を希望された場合には、上顎部分を大きく削除するため、使わざるを得ない場合もあります(長期使用しておりますが、調整をきちんとすれば異常はありません)。