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 患者さんの中には、歯並びに強いこだわりのある方もいらっしゃいまして、左右がほぼ同じように見えるように希望する患者さんもいます。
 こちらとしましては、できる範囲で左右均等に見えるように並べるのですが、アゴの形や唇の左右対称性などにより、どうしても均等には見えない場合があります。

 それでもやはり左右均等に見えるように希望されますので、細かい微調整を繰り返しながら、顔や唇に合わせた形で均等に見える位置を探して、並べていきます。数回この作業を繰り返すことで患者さんも納得できるくらいの歯並びになれば、そちらで仕上げることになります。

 でき上がった入れ歯は、入れ歯だけを見れば、とても左右均等な歯並びでは決してないのですが、患者さんの口の中に入ったときには、お口に合わせた左右対称性がバランス良くとれています。
 たまに入れ歯だけを見て、歯並びが変だという患者さんも中にはいますが、それは口の中に入ったときにはきちんと馴染んでいますので、入れ歯だけで歯並びは
判断しないでくださいとお伝えしております。

 左右対称性を求める患者さんは審美的な意識も非常に高いので、作るうえでこちらも緊張しますし、やりがいもあります。ただ、注文通りに絵に描いたような左右対称性に歯を並べますと、多くの患者さんは何か固いイメージなので、もう少し馴染むようにでも左右対称に並べ直してくださいと言われます。
 それで唇に合わせた形で少し崩しながらきれいに並べますと、ほとんどの人はこちらの方がいいですと、お答えになります。

 歯並びというのは、歯並びの問題だけでなく、むしろ唇や顔全体のイメージの方が重要かもしれません。歯科医院に常駐していない普通の技工士は、患者さんの唇も顔も見ずに作っているわけですから大したものだと思います。
 私は患者さんを見ながら作る方が左右対称にもしやすいですし、今では患者さんを見ないで並べるなんてちょっと考えられない状態であります。
 患者さんを直接見て、できればお話ししながら、その患者さんが本当に求めている歯並びはどんなものかをさぐります。患者さんの言葉をよく聞いて自分で患者さんの気持ちをつかんでからイメージして並べる方法というのが、一番早道であると今では思っています。



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