目次一覧へ 「欧米人と日本人では入れ歯の作り方が違うのかもしれない」
 このことに気づかされたのは、ある患者さんの希望通りにカスタムアップしてみた入れ歯が、いわゆる入れ歯の基本を踏まえていない作りであるにもかかわらず、何の不具合もなく満足されているところを見た時でした。

 初めは、いくら試してみることができるとはいえ、そこまで患者さんの希望通りに作ってしまったことに不安を感じていましたが、一つの成功例を見ると、これは案外、他のケースでも試してみる価値があるのではないかと考えました。
 それから、長期治療に協力していただける患者さんと、とことんまで話し合って作ってみました。とにかく患者さんの希望を忠実に再現することにこだわって入れ歯作りをしたのです。そして患者さんに徹底した「聞き取り」を行うこの製作方法により、これまで快適に入れ歯を使っていたと言われていた人でさえ「こんなものができるとは知らなかった」「これは快適だ」と絶賛していただける入れ歯を作り上げることができるようになりました。

 もちろん個人差はありますが、このことでわかったのは、「多くの日本人は欧米人より器用で、口の中の感覚は敏感で、繊細である」ということです。また、日本人には独特の美的感覚、違和感、食生活への強い思い入れがあり、必ずしも欧米型の入れ歯である必要はないということがわかりました。
 こうして作った入れ歯は薄すぎたり、軽すぎたり、いわゆるデリケートな作りをしているため、欧米人には不向きかもしれませんが、私が診ている患者さんのほとんどは日本人です。日本人に合った作り方に固執した方が、より高い満足度が得られるように感じます。

 歯科業界でも、いまだに海外のものは日本のものより優れているという考え方が根強いため、われわれもつい欧米至上主義におちいってしまいがちです。私も知らず知らずのうちにその考え方が染みついていたことに気づかされました。
大学で学んだ入れ歯作りの方法が間違っているかもしれない、とは普通疑わないものです。私がこれまで作ってきた入れ歯の中には、他の歯科医師だったら、「そんなやり方ではうまくいくはずがない」と初めから拒否したり、「それは解決できない、無理です」というものもあるかもしれません。
 今、一般的に行われている入れ歯作りは、欧米型の入れ歯を日本の患者さんに当てはめ、できる範囲の中から選んでもらっているという感じではないでしょうか。本当の意味で患者さんに合った入れ歯は作っていないのではないか、と思います。

 試してみる入れ歯作りを進化させると、いわゆる日本人の器用さを最大限に利用し、日本人の神経質さを最大限に考慮するような入れ歯作りも可能となります。基本パーツ以外、決まった型はありません。
昆布やスルメなどやたら硬いものは噛まないので、通常の食事で味覚を損なわず、残っている歯に極力負担をかけず、現状が長持ちする入れ歯がよいと考える人、違和感や異物感ができるだけ少ない、見た目のよい入れ歯が欲しいと考えている人は、「日本人に合った、試してみる入れ歯作り」が適していると思います。また今の入れ歯で満足している人も、本当はもっと自分に適した入れ歯があるかもしれません。

 あるいは入れ歯を入れたことがない人でも、初めからこの「日本人に合った、試してみる入れ歯作り」のステップを踏んで作り込んでいけば、最もリスクやストレスがなく自分に合った入れ歯を最短の方法で作ることができると思います。



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「入れ歯治療の新発想」


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