2025/06/06
技工士の関戸です。
新しく来院される患者さんの中で、たまに入れ歯の前歯の歯並びが横一線にまっすく並べられていて、いかにも入れ歯だとわかってしまう入れ歯をされている患者さんがいらっしゃいます。当院で作っていく中で、歯並びを決めていくときに、以前と同じくまっすぐがいいかどうかをお聞きしますと、多くの患者さんは、顔に合わせて自然な感じの歯並びがいいという答えが返ってきます。次に多いのは、前歯をもっと前に出して明るく・元気なイメージにしたいというお言葉をいただきます。
やはりいかにも入れ歯だとわかる入れ歯は、好みというわけではなかったということで、患者さんそれぞれの口元に合った歯並びを、患者さんと相談しながら作り上げていきます。残っている歯の影響も大きいのですが、何より患者さんの好みがどういうものか?という点をつかむのが一番難しいと言えば難しいです。
何度か並べますと、患者さんもいろいろお話してくださいますので、「あーでもない。こーでもない」という言葉とともに、「もうちょっとこうしてほしい」という具体的な注文が得られますと、非常に並べやすくなってきます。
横一線のまっすぐな入れ歯ではなく、来院された時点で前歯がガタガタな入れ歯の患者さんもいらっしゃいます。原因の多くは、つぎはぎだらけの入れ歯になっていることです。歯がだんだんと抜けてしまって、元の入れ歯に継ぎ足している入れ歯です。
このような患者さんの場合でも、歯並びはやはり不自然にまっすぐな入れ歯ではなく、自分の口に合った歯並びの入れ歯を求められます。当然、ガタガタの入れ歯になんてしません。何とも言えない感じに自然に調和した歯並びを目指して並べていきます。
そうしますと、入れ歯を作ってからも口が入れ歯に適応していくといいますか、しばらくすると非常に馴染んでいきます。不自然な歯並びの場合は、いつまでたっても口元や顔に馴染んでいかないのですが、自然な並びを意識して並べていきますと、しばらくの時間経過とともに、顔や口元に合ってくるのです。人の適応力に感心する瞬間でもあります。
われわれが入れ歯を作ることがすべてではなく、患者さんの入れ歯に対する適応力によって、より良い入れ歯になっていくようです。入れ歯作りは患者さんとの二人三脚だと思っています。
入れ歯が合わない、痛い原因③
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