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2016年9月24日

保険診療で大丈夫なのか 1

 歯科技工士なってから、何百人どころか、何千人の患者さんの口や歯の型を見てきていると思うのですが、良いかぶせ物や詰め物、そして入れ歯をされている人は、ほとんどいないというのが現状です。

 たまに、良いかぶせ物をされている患者さんの場合、やはりその歯は自由診療でやってもらったというケースが多いです。

 安かろう悪かろうの保険の技工物だから仕方ないのかもしれないですが、世界の先進国の中でも優秀な国である日本において、もう少し質の高い技工物が、すべての患者さんに提供されるようにならないかと、私は思っています。

 たまに拝見する自由診療で作られた歯の患者さんの場合、それに合わせてこちらで技工物を製作する時も、非常に作りやすいのです。歯は上下でかみ合っていますので、反対の歯が質のいい歯であれば、その歯とかみ合う歯も作りやすくて、良い物になります。

 保険診療で作られた歯のまわりは歯ぐきが下がってきているのに、自由診療で理想的な形で作られた歯だけが、歯ぐきが下がっていないというような光景はよく見ます。同じような位置にあって、これだけの差がでるのかと思うほど、技工物の良し悪しは、歯や歯ぐきに影響を与えます。

 単に技工物が原因とは言えず、年齢的なことや、歯みがきの仕方やその他の原因による場合もありますが、食べ物をグチャグチャになるまで、すりつぶしたり、かみ切るには、かなりの力が必要で、その力に歯ぐきも毎回耐えていて、何度も何度も食べ物が直撃することにより、まるで海岸が侵食される砂嘴や砂洲のように、歯ぐきも減っていくようです。

 当然、あまり良くないかぶせ物の歯は、歯周病や虫歯にもなりやすい構造になっているとも言えます。

 しっかりかめて、見た目も良いだけでなく、歯みがきをしても汚れが取れやすく、治療した後に虫歯や歯周病にもなりにくい、そんな歯を入れることが一番の理想だと思いますが、それには、1回や2回歯科医院に通っただけでは難しいと言えます。

 保険診療では、仮歯でしっかりと確認するという作業がありません。すぐに、型をとって1週間でセットしてしまいます。
 本当にその形の歯でよかったのか? 色も見た目も問題ないのか?歯みがきしても汚れが落ちやすいか、虫歯や歯周病になりにくい形になっているのか?
 それらのことを全くチェックしないで、新しい歯をセットするというのは、危険だと言ってもいい行為です。なぜなら、次に悪くなったときに、もっとひどい状態になってしまって、もう歯としては使えなくて、抜かなくてはいけないような状態になる場合も少なくはないからです。

 そのような治療でどんどん入れ歯になっていっている患者さんを多く見ています。保険診療のすべてが悪いというわけではないでしょうが、何十年と使ってきた自分の歯、そしてこれから先、何十年と使っていく自分の歯を、そんなに簡単な方法で治療して、ずっとうまく行けると思うのは、やはり安易だと言えます。

 歯は、風邪やケガのように、自分自身の自然治癒力では治りません。人工的に何らかの手を加えないと、プラスマイナスゼロの状態には戻らないです。そして、歯の場合は、数年~数十年かけて悪くなっている場合も多いので、短時間の治療で済ませることは、理屈から考えても非常に難しいのです。

 もっと慎重に、何度も確認して、チェックしながら、最後に安心できるものをセットするというのが、当たり前のこととも言えます。欧米では、保険診療で歯科は受診できませんが、それには理由があって、歯科の正しい治療、質の高い治療は、そんなに安く提供はできないのです。

 きちっと歯を治療するためには、それなりの時間と費用と労力をかけなければ、最終的にうまくいかないですし、結局、数年後によりひどい状態になることもあり得ます。
できれば、自分の人生とともに、数十年使っていくものとして、じっくり治療されることをおすすめします。

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プライベート歯科横濱
院長 脇田一慶

院長 脇田一慶

医院サイト:
https://www.ireba-yokohama.com/

入れ歯治療は、歯科治療の多様な診療技術が盛り込まれた、いわば歯科治療の真髄ともいうべき分野です。私は、研究者として入れ歯や歯科治療について知り尽くしていると自負し、将来を見据えた価値のある入れ歯治療に取り組み、現在も日々研鑽し学び続け、常に最善の治療をご提供できるように努力しています。

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