2025/10/07
入れ歯専門技工士の関戸です。
入れ歯は、歯が1本もない総入れ歯の患者さんから、1本だけの入れ歯の患者さんまで、非常にバリエーションの大きい治療です。
歯は一般的に全部で28本、親知らずまで入れると32本ありますから、1本くらい歯がダメになっても心配ないと考える方がいらっしゃっても当然だと思われます。
ただし、それはその1本の歯だけで済めば問題ないのですが、1本の入れ歯が2本になり、次に3本に増えて、いつの間にか全体的な大きな入れ歯になってしまったということが結構ございます。
1本目の入れ歯をしっかりと作ってケアを続けていれば、2本の入れ歯になることはなかったでしょうし、さらに大きな入れ歯につながらなかったと言えます。
1本目の入れ歯を適切に作り、特に前後左右の残っている歯に悪影響を与えにくい入れ歯に仕上げることで、かなりその後の状況は変わってくるはずなのです。
歯周病が全体的に進んでいる患者さんの場合には、次から次へと歯が抜けてくることも仕方がない面はあるかもしれませんが、残っている歯が比較的健康な歯であった場合には、それ以上歯が抜けることのないような入れ歯を作って、定期的なメンテナンスやチェックをしながら、維持していくというのが理想的だと思います。
実は、私が技工士駆け出しの頃、まだ入れ歯のことをよくわかっていなかった時期に、私の母親が1本の入れ歯から連続して5本の入れ歯にあっという間に、入れ歯が大きくなっていたという経験があります。
近所の長年通っている歯医者さんだったようですが、私が気付いた時には、もう遅くて、ハグキもかなりやせてしまっていました。そのような状態では、入れ歯でしっかり噛むのも難しいのです。気づいてからすぐに私が金属製の入れ歯を作って、普通に食べられるようになって15年以上経ちますが、それまでは5本連続で抜けた右側の入れ歯ではなかなか噛みにくかったようです。
そういう経験もございまして、1本の入れ歯だと思って安易に使われていると、のちのち苦労することもありますので、油断大敵といいますか、1本抜けた時から、ちょっと真剣に今後のご自身の歯のことを考えられたほうがいいかと思っています。ご参考までに。
入れ歯がはじめての患者さん②
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