入れ歯が合わない、痛い原因③

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入れ歯が合わない、痛い原因③

前回は、製作段階での歯科医師がとったかみ合わせがズレているから、入れ歯が痛むというお話をしました。今回は、入れ歯を作って最初は調子よかったのに、しばらく使っている中で痛み始めた場合に、何が原因で痛んだのかご説明します。

 

入れ歯を作って2~3週間以内の痛みは、まだ細かいかみ合わせの調整が安定していない時期だと考えられますが、その時期を超えてしばらく使えていたのになんだか痛み始めたというのは、入れ歯の扱いにだんだんと慣れてきて、入れ歯を道具としてうまく使えるようになったことによって、さらに以前よりもかみ癖が強くなってきたという現象です。このような症状はよく見られます。これは入れ歯としてはとてもいいことで、その患者さんが使いこなしてくれた結果現れてきた現象なので、それに合わせて入れ歯を調整していけば、さらによりかみやすく使いやすい入れ歯に変わってくれます。

 

そして、この時期からさらに時間が経過しますと、かみ癖の部分の人工の歯がすり減ってきたために、全体的なかみ合わせが変化してきたということが起こります。

 

食べ物は最初は前歯でサクサクと砕いて口の中に入りますが、そのあと奥歯でムシャムシャとすりつぶされていきます。奥歯は右下4本、左下4本、右上4本、左上4本の16本ありますが、大臼歯と呼ばれる一番奥の2本の歯は、やはり大きくて力入りますので、人工の歯のすりへり具合も大きくなります。

 

患者さんに寄りますが、数年で人工の歯がすりへってしまって、入れ歯の奥歯の高さが低くなってしまう人がいらっしゃいます。メンテンナンスを定期的に受診している人ならば、歯のすり減り具合がわかりますが、長年メンテナンスに行かれていない場合に、奥歯が極端に低くなって、小臼歯や前歯でしかかめていないような入れ歯が実はよく見られます。

 

こうなりますと、食べ物を食べるときに、入れ歯が前のめりになったような状態になりますので、入れ歯がはずれやすかったり、落ちやすかったりする原因にもつながります。しっかり食べ物もつぶせないので、かむ時間もかかりますし、それからさらに進行すると、入れ歯のどこかが痛み始めることもあります。かみ合わせがズレた状態で無理やりかんでいるのに近い状態ですので、特に下の入れ歯が痛み始めたりします。

 

また、右でかむ習慣のある人があくまで経験上ですが6~7割いらっしゃいまして、しかも右の奥歯の前の方でかむ、つまり右の小臼歯と呼ばれるところでかむ習慣の多い人がよく見られます。この右でかむ習慣というのは、長年続けてきたことなので、そんなに簡単には修正できないですが、それでも、右だけでしかかまないという習慣をずっと続けていきますと、当然ですが、右の入れ歯の人工の歯のすり減りが大きくなり、これもまた入れ歯が痛む原因につながってきます。

 

この場合は、右の奥歯の人工の歯のすり減った表面に追加の材料を足して、元のバランスの良い高さまで上げることが大切になってきます。うちの医院では、どれくらいの期間ですり減ったのか?、また、患者さんのかみ合わせそのものの強さを考慮して、4段階くらいの硬さの差がある材料を使って、その患者さんに合った材料を追加して、再び同じ高さに戻して使っていただくようにしています。かみ合わせの強さは十人十色ですので、一人一人に合わせて弱めの材料から使っていただいて、それでもすり減りが大きければ、さらに強めの材料で試してもらうということを繰り返しています。

 

車のタイヤが走行距離によって数年でタイヤ交換になるように、入れ歯も毎日三度食事をとりますので、経年劣化でどうしてもすり減って行きます。人工の歯自体を交換するのは大変な作業でもありますので、歯のかみ合わせの表面を追加修正します。例えて言いますと、革靴のかかとのヒールがすり減ったので、ヒールを交換するようなイメージです。この作業をきっちり行いますと、ほとんど患者さんがかみやすくなったと言われます。歯もそうですが、入れ歯は定期的にメンテナンスしていかないと、歯や歯ぐきに痛みが出てくるような状態になっていきますので、ひどくなる手前でメンテナンスされるのが一番いいかと思います。