2018/03/02
入れ歯専門の歯科技工士として、当医院の入れ歯は、私が一人で最初から最後までお作りしています。
院長が型どりした型に、石膏を流して、口の型の模型を作ることから、患者さん専用の型どり用の器具(トレー)や、かみ合わせのとるための危惧も当然、一人で作ります。
それから前歯・奥歯を順に並べる作業の時には、患者さんと院長、私や女性スタッフで確認しながら、最終的に患者さんが納得されればその歯並びのまま、入れ歯の仕上げにかかります。
入れ歯が出来上がるセットの日まで、気を抜くことなく、すべて1人で作成していくので、細かいところにも目は行き届きますし、すべての作業は次の作業につながっていきますので、自分ですべてを管理できるのは、ありがたいことです。非常に仕事がしやすいです。
手作業ですし、自分1人で作っていますので、大量に作ることは難しいですが、歯科医院内の技工室ですから、すぐに対応できる点と、患者さんを直接目の前で見ながら製作できますので、『百聞は一見に如かず』のことわざ通りに、早くて正確な作業が可能となっています。
また、患者さんとの会話からいろいろなご注文や感想を聞けることも、入れ歯を作るうえでは非常に貴重な情報源でありますし、技工士としての経験としましては、患者さんのコメントはある意味財産であります。患者さんの本音の声が聞けるような環境にいる技工士は全国でも数少ないと思いますので、毎回、自分の血となり肉となる大切な経験だと思い、心して取り組んでいます。
今では、患者さんのご注文もほとんど想定内のことになりましたが、それでもまだまだ患者さんの真の思いを一度でつかむということは難しく、数回取り組ませていただくことで、どのような希望をされているか、わかるようになってきました。
歯科医師も、1人の患者さんの治療を、一から十まで自分でやるというのが基本だと思いますが、私たち歯科技工士も本来は、1人の患者さんの入れ歯を1人ですべて行ったほうがいいのではないかと、最近実感しています。
日本の歯科では、ほとんどは分業化された歯科技工所(ラボ)で入れ歯や差し歯が作られていますが、1つの歯科医院で1人の患者さんに対して、治療は1人の歯科医師がやり、技工物は1人の歯科技工士が作るような体制が、理想的ではないかと思います。
分業的な作業で作っていく中ではつかめないものがあると、思っています。
2018/01/16
入れ歯や差し歯は、見た目だけの問題ではなく、
機能的によく噛めたり、違和感がなかったり、清掃しやすかったりすることがまず一番大切です。
その次に、多くの患者さんが求めていらっしゃるのは、やはり見た目の良さ、
つまり、歯並びがきれいだったり、かわいかったり、男前であったり。あるいはごく自然な歯並びであったりすることです。
われわれ技工士は、ドクターからの指示や患者さんの残っている歯の型をもとにして、歯を選び出し、並べてから、一度患者さんの口の中で歯並びを確認します。
でも、歯の型ではなく、直接、患者さんの顔見ながら、ドクターとともに3人で話し合いながら、患者さんの好みを聞き出して選んだ歯が、やはり一番その患者さんに合った歯並びになることが多いです。
型を見ているだけでは、顔全体のイメージ、そして、唇やほっぺたの感じによる歯の出具合いなどはまったくわかりません。
直接見るということは、一番早く正確に歯や歯並びを選べる方法だと言えます。
そして患者さんによって、入れ歯や差し歯とはわからないようにごくごく自然に作ってほしい人もいれば、
せっかく作るのだから、全体的にきれいな感じにしてほしいという患者さんもよくいます。
機能的に支障のない範囲で、できるだけ患者さん好みの歯にしたいというのが、院長の方針で、私も来院された時よりも、絶対にきれいで、かっこよくて、良い歯並びで帰っていただきたいという思いで歯並びに取り組んでいます。
1回で決まることもあれば、数回試行錯誤することもあり、後日、再度来院していただくこともありますが、結果的に、患者さんがこれがいいという形の歯や歯並びになることが一番だと思います。
使われていて不満足な入れ歯はやはり作りたくありませんので、どこまで本音で話されているかはわかりませんが、患者さんのお話や反応を見ながら、適切に改善する作業を繰り返しております。
入れ歯でもこんなに自然なのに、なおかつきれいな歯になるものだな。と思ってもらえるような入れ歯を目指して常に作っております。
2018/01/06
長年食べられなかったたくあんを食べられるようになったというお話や、
入れ歯でもするめをバリバリ食べているお話など、昨年もいろいろうれしい話やお声を聞かせて頂きました。
入れ歯とはわからない、自分の歯のように自然な見た目でありながらも、きれいな歯になったことで、感謝の言葉をいただくことも多々ありました。
本年も昨年以上に、患者さんから、「いいね!」と言われるような入れ歯を作っていきたいと思う所存です。
そのためには、とにかく新たに来院される患者さんを、来られた時よりも数段良い状態で満足して帰っていただくという強い意志を持って仕事に取り組まねばなりません。
医療はマイナスをゼロに戻すだけの行為のように思われがちですが、そのうえさらにプラスアルファされた入れ歯や差し歯を提供できるように、努力していきたいと思います。
どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
2017/12/25
入れ歯というのは、歯が抜けてしまった所に人工の歯を入れて作る技工物です。
この時に、どの高さや位置に歯を並べるか、どれくらいしっかりかませるかなど、歯を一番理想的な所に並べる作業を「歯の排列」と専門的には言います。
これは、もっぱら歯科技工士の仕事で、ドクターの情報をもとにして考えることは山ほどあります。
しかしながら、歯科医師はあまり歯並びを重要視しません。実際に歯を並べる作業を自分ではやっていないからと言えますが、技工士でも保険診療の既成の入れ歯を数多く量産して作っている人は、深く考えて歯を並べることは少ないと言えます。
この歯並びはとても大切で、理想的な位置に歯を置かないと、さまざまな部分で支障がでてきます。食べ物を食べる時に、力が一番入りやすい位置に歯がなくて、少し高い位置にあるだけで、食べにくくなります。歯で食べ物をうまくつかみながら、なおかつ細かく砕いていかないといけないわけですから、非常にその位置が大切なのです。
食べるだけではなく、しゃべったり、ただ口や舌を動かすだけでも邪魔な位置に歯があると、不快ですし、舌をかんだり、ほほが傷つくことにもつながります。
多くの歯医者さんは、適当に上下でかんで当たっていたらそれでいいという考えであるため、なかなか口の中で何とも言えないしっくりしたおさまりの良い入れ歯と言うのは、提供されにくいように思います。
自由診療で腕のある技工士が質の良い入れ歯を作っても、ドクターが同じようなレベルでないと、せっかくの自由診療の入れ歯も台なしになってしまいます。
『あれっ。自由診療で入れ歯を作ったのに、こんなものかな?』と思っている患者さんがいらっしゃいましたら、そのような理由があると思っていいでしょう。
歯並びは、見た目以上に機能性に大きく影響しますので、ちょっと移動させただけでも、入れ歯全体のバランスが狂ってしまうケースはあります。
もともとの骨格やかみ合わせが少しズレている患者さんの場合には、この歯並びは要注意です。普通に並べているだけでは、きっとはずれやすかったり、痛みがでるようなこともあるでしょう。一度作っただけでうまくいかない時もあると思います。
入れ歯はあくまで人工物ですが、1人1人の生身の体に合わせて、最も最適な状態に仕上げていかなくてはいけないので、単なる物づくりと違うところがあります。
われわれプロの技工士が作ったから良い入れ歯になるわけではなく、使って行く中で患者さんの言葉をよくよく聞いて、その入れ歯に手を加えて修正しないといけないことも多々あります。
生身の口の中で最高のパフォーマンスができる入れ歯を作ることは、非常に難しいですが、楽しい仕事でもあります。
入れ歯は患者さんと二人三脚で作っていくものだとよく言われますが、まさにその通りで、ぜひともいろいろな意見や気持ちを伝えていただきたいと思っています。
1人として同じ体・同じ口の人はいません。なので、できるだけ良い入れ歯を作っていきますが、作ってからも患者さんには、感想をいろいろ言っていただきたいと思います。そして、共に良い入れ歯になるようにしていきましょう。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
2017/12/02
先日、9年勤めている助手が、歯が全部つながっている、長いブリッジの仮歯の患者さんの時、「すごい良い音がしました」と言いました。
私はそれを聞いて、「おっ。ちょっと一流だね。」と答えました。
そうです。
入れ歯でも、ブリッジやかぶせ物でも、また天然の歯の場合に特にそうですが、
なんとも言えない、『コンコン』という良い音がします。少しこもった音ですが、重厚感のある良い響きがします。全体的にバランスよくかめている時に、このような響きになります。
技工士駆け出しの頃、上下総入れ歯の患者さんが、「入れ歯がなんかカチカチと変な音がする」というので先生が丁寧に調整された後、改めてよく聞いてみると、『コンコン』というなんとも言えない良い響きがして感動したのを、思い出しました。
患者さんはかみ合わせもよくなったと言って大変ご機嫌で帰っていかれました。
入れ歯で音というのも、おかしな話に思われるかもしれないですが、かみ合わせがいまいちだとなかなか良い音はしません。むしろ、まとまりのないような音がしたり、カンカン鳴るような時もあります。
良い音ということで言えば、いつもとは違う高級な革靴を履いて歩いた時にも、同じくとても良い響きがするんじゃないでしょうか。なんとも言えない重厚感のある靴音を聞きながら歩いていると、少し自分がかっこよくなったかのような気分にさえなったりしないでしょうか。
靴の場合も、きっと地面に対してバランスよく当たっているから、このような音がするんだと思います。
入れ歯のかみ合わせに限らず、『良い音がする』というのは、さまざまな分野で1つのポイントになっているんじゃないかなと予想します。