2017/03/03
前歯でも奥歯でも、以前治療したブリッジがぐらぐらしているので、どうしたらいいのかというご質問はよくあります。
普通の医院では、そのブリッジをはずしてから、部分入れ歯にしたり、ブリッジを作り直すという方法をとるかと思います。ぐらぐらしている度合いによると思いますが、大きく動いている場合には、部分入れ歯になることが多いと思います。
そして、奥歯ならば口を開けても見えないので、少しの期間、ブリッジの部分の歯がなくても過ごせるでしょうが、前歯のブリッジとなりますと、そういうわけにはいかないので、ブリッジをはずす時に、仮の歯が必ず必要ですし、急に外れたとしても応急処置的に部分入れ歯が必要になってくると思います。
歯医者さんだけの医院では、その日に部分入れ歯や仮歯を入れるようなことは難しいと言えます。技工士がいる歯科医院であれば、なんとか数時間あれば十分作れるのではないかと思います。
また、部分入れ歯にすると決まっても、本当に患者さんが入れ歯に慣れて使っていけるかどうかの保証はありません。まずは、入れ歯が使えるかどうかを確認するのが一番安心安全な治療方法です。
保険診療ではできないですが、自由診療であれば、入れ歯に似たプレートをまずぐらぐらのブリッジの内側に入れてみて、それで生活が過ごせるかどうかを試してみます。
大丈夫であれば、1本ずつでもいいので、ぐらぐらのブリッジを仮歯に変更していくのです。そうして部分入れ歯に慣れてきたら、より審美的にもきれいで、異物感も少ないワンランク上の入れ歯にされると、さらに快適に過ごせると思います。
あるいは、部分入れ歯を使っていて、どうしても嫌だというのであれば、それから再びブリッジにしていくことも条件的に問題なければ可能だと思います。
とにかく入れ歯が嫌だという人でないかぎりは、まず部分入れ歯を体験されたほうがいいと思います。今では快適な入れ歯も作れますので、それほど入れ歯に対して悲観的になることはないと言えます。
ダメになったブリッジから、さらに前後の歯を削って大きなブリッジにされたり、インプラントにされた場合には、将来的にかなりリスクは高いと思っていただいたほうがいいと思います。
その次に悪い状態になったときには、かなり口の中が悪い状態になりますので、ブリッジもインプラントもできなくて、入れ歯にしたとしても、非常に使いにくいものになるかもしれません。
若い年齢からたまたま入れ歯になった人のほうが、年をとられても、非常に理想的な状態で入れ歯を使われている人は大勢いらっしゃいまして、ハグキも、かみ合わせも安定している年齢で入れ歯生活になられたので、お口の中が安定しています。
入れ歯は、丁寧に作ってうまく使っていけば非常に便利な道具ですので、ぜひ入れ歯にチャレンジしていただきたいと思っています。その際、できれば最初から入れ歯を専門に扱う歯科医院で入れ歯を作られたほうが得策だと思います。合わない入れ歯は、残っている他の歯にも悪影響を与えます。きちんとした入れ歯を入れて、毎日の快適な生活を送ってください。
2017/02/27
「今まで使っていた入れ歯の、歯の大きさはいいと思うのですが、きれいに並びすぎていて、なんだかいかにも作った歯のように見えるので、もう少し自然な口元に見えるような歯並びにできませんか?」
と言われる患者さんがたまにいらっしゃいます。
保険診療で作る入れ歯や歯科技工所に依頼して技工士まかせで作った入れ歯の場合、患者さんの口元を実際に見ることはないので、どうしても規格どおりのきれいな歯並びになってしまいます。
それはそれで、きれいに整然と並んでいるのですが、どうも患者さんの口元になじんでいない感じがすることが多いです。
口もそうですが、くちびるも、ほほも、左右対称の人はほとんどいらっしゃいません。
なので、歯並びも、くちびるや口元、顔のイメージに合わせて、少し左右で変化をあたえたほうがしっくりなじみます。
1人1人の患者さんに合わせて、アレンジを加えて並べていくと、顔立ちや口元にあった自然なイメージの歯並びに近づいていきます。
決してもともと生えていた歯の位置にならんだほうが自然に見えるわけではありません。そういう方もいますが、もともとの位置というのは、かなり複雑な歯並びになっている場合が多いので、もう少しより素敵に見えるようにしながら、でも人工的な感じにならないくらいに調整するのが大切なところです。
そして入れ歯の歯並びは、面白いのですが、患者さんが使われて行くなかで、どんどん顔になじんでいきます。まさに、新しい入れ歯に、口もくちびるも舌も適応していっているという感じです。人間の適応力は本当に不思議なくらい、すごいものです。
2017/02/21
入れ歯でも差し歯でも、上の前歯を新しく作り替えるときに、それまでのイメージよりも、明るくきれいな歯に変えると、顔の印象がかなり変わります。
患者さんの多くは、もともとの歯よりも少しだけ白くてきれいな歯を求める傾向がございます。大きく変わることはちょっと抵抗があって嫌だけれど、少しきれいになることはぜひそうしたいという希望が多いです。
なので、私が入れ歯の歯を並べたり、差し歯の仮歯を作るときにも、そのような点に気をつけて、患者さん1人1人の顔立ちのイメージに合わせたものを作るようにしています。
1度作って入れたあとに、患者さんから、もっとこうしたいとか、こんな感じにできるか、と言われたことに、適宜お答えしています。
うちの医院では直接患者さんの口元をじっくり見ながら作り上げていけるのでありがたいのですが、直接見ないで作っている技工士さんは大変だろうなといつも思います。
どう考えても、百聞は一見に如かずと言われるように、見て作ったほうが早くて正確で、なんとも言えない味が出せると思います。
患者さんのお話している言葉の微妙なニュアンスもつかめます。
歯科医院の診療室でドクターに対して、うまくしゃべることができる人も少ないですので、できるだけ気軽な感じでおしゃべりできたらいいと思っていますし、数回お会いすることで、患者さんの意図している本心をつかめるように耳をそばだてています。
それでも100%聞くことはできていないと思いますので、入れ歯も差し歯も何がなんでも一回でうまく行かせようとは考えず、ただただ患者さんの希望を理解するようにしながら、みんなが納得できる歯になるまで試行錯誤しております。
そうして最終的に、ここに来てよかったと言っていただけることが一番うれしいので、その目標に向かって日々努力するのみです。
2017/02/20
入れ歯にしてから、口紅がうまくひけなくなったという女性の患者さんがたまにいらっしゃいます。
これは一概には言えないのですが、まず入れ歯の前歯の歯並びが良くないために何らかの影響を与えている可能性が高いと私は考えています。
それで、ドクターの指示で前歯の歯並びをいろいろ変えてみます。使っている歯の大きさや形が良くない場合もあるでしょうが、だいたいは、歯が本来あるべき位置よりも少し奥に並んでいること、あるいは、平面的に立ち過ぎていることが原因の場合が多いです。
なので、歯を少し外に振った感じに並べ直しますと、唇が以前よりも厚めに見えるようになって、口紅がひきやすくなります。どれくらい唇を見せるかは程度によるのですが、しゃべっても邪魔にならず、唇が歯にくっつかないで、スムーズに動かせる範囲内でできるだけ外に振るようにすれば、大丈夫かと思われます。
ただし、唇や歯並びは個人差がありますので、誰でもうまくいくとは限りません。
入れ歯では難しい方もいらっしゃいますので、こちらとしましては、可能なだけ努力させていただくということになります。
他に、入れ歯の影響で口紅がひきにくい原因として考えられますのは、入れ歯のかみ合わせの高さが低いために、口元がクシャっとつぶれたような状態になっている場合があります。
長年使っている入れ歯の場合には、歯の部分がかなりすり減ってきていますので、上下の高さが低くなっていることがよくあります。そのような入れ歯の場合、全体が低くなっていますので、唇が余っているような状態になります。
入れ歯の歯の高さを変えるか、入れ歯自体をもう一度、かみ合わせから作り直すのが一番いいかと思われます。応急処置的に歯の高さを変えても、すぐにすり減ってきますので、改善するならば、しっかりと改めて入れ歯の歯をすべて入れ替えるか、入れ歯自体を作り直すかのどちらかをおすすめします。
この場合、時間も費用もかかりますし、普通の歯科医院では歯をすべて入れ替える作業は1日でできないと考えられます。
技工士がいる歯科医院にて、上下の歯を入れ替えるのも半日ほどはかかると思いますので、よくご相談されて決めていただくのがいいと思います。
2017/02/20
入れ歯の患者さんから、鼻の下のところをもう少しふくらませてもらえないかと言われることがあります。
あるいは、年をとったからかもしれないですが、ほうれい線が出てきて、これをなくすことはできないかと聞かれる方もいます。
入れ歯でどこまで希望にそえるかわかりませんがとお断りしつつ、できるだけ良い感じになるように、仮の歯並びの段階で修正を加えていきます。
鼻の下の部分は、前歯の上の歯ぐきの部分になりますので、比較的ふくらませるのは簡単です。要は、入れ歯のはぐき部分にボリュームをもたせればいいからです。
ただし、あまりふくらませすぎると、今度はぷくっとふくれたような形になって、逆に見ためが良くないので、少しづつ盛りながらちょうどよい厚みにしていきます。
この作業は歯科医師ができないこともないのですが、入れ歯専門の技工士が直接やったほうが早くきれいにいくと思います。また、そこまで希望を聞いてやってくれる歯科医院自体がおそらくないのではないかと思いますので、技工士がいる歯科医院を探すのがポイントだと思います。
あとは技工士がいたとしても、歯科医師の指示を聞いて作業するだけの技工士ではあまり意味はなくて、本当に患者さんの口元をきれいにしたいという熱意で取り組んでいないとなかなかスムーズに行かない作業ですし、美的なセンスもある程度そなわっていないと難しいと思います。
特に女性の患者さんの口元をきれいにするのは、患者さん1人1人の好みも違いますので、簡単ではないです。患者さんの話をよく聞きながら、瞬時に判断して、最後に形にしないといけないので、緊張する作業です。1回でうまくいくとは限りませんが、修正しては確認してもらい、また修正しては確認するという作業を行えば、数回でだいたい納得しただける入れ歯になっていると思います。
患者さんが言われるように、鼻の下をややふくらませるだけで口元に張りが出て、少し若く見えるといいますか、明るく元気な感じになることが多いです。患者さんは自分の口元を非常に熱心に観察されていますので、つくづく患者さんが望むことは正しいと思う時があります。これからも患者さんの話すことに耳をそばだててお聞きし、良い入れ歯に反映させていきたいと思っています。
歯の下をふくらませても、ほうれい線を完全になくすようなことは約束できないですし、ややほうれい線がましになったかなというくらいかもしれないですが、気になる方はぜひ希望を言っていただきたいと思います。
ただ、中には、ふくらませ過ぎたために、上の唇の内側がすれて痛いという人もいらっしゃいます。その場合には、逆に少しづつ削り落としてからきれいに研磨して様子をみてもらうという調整になります。
入れ歯ははじめてセットした時には、まだまだ口や口元になじんでいません。ですので、しばらく使っていただけると、より口元になじんできますので、最初から大きく修正するよりも、痛いとか、気になって仕方がないということでなければ、少しの調整で慣れていくということも大切です。
また、うちの医院では、入れ歯は1度作ったらおしまいではなく、具合が良くなければ、新たな入れ歯を作っています。1度目で何でも解決できるとは考えていないので、逆に、1度目の入れ歯をいろいろ試せる入れ歯だと考えていただければいいかと思います。