2024/01/04
入れ歯専門技工士の関戸です。
昨年も多くの患者さんに来院していただきまして、入れ歯をお作りいただき、感謝申し上げます。
この年末年始、無事に何の問題もなく入れ歯で過ごせたかどうか気になる患者さんもいらっしゃいますが、新年1日目の本日、特にお困りのお電話はございませんので、少し安心しております。
しかしながら、年末年始にはいろいろな集まりや食事会なども行われたかと思いますので、入れ歯になんらかの不具合が生じましたら、遠慮なくご連絡ください。
今年もより良い入れ歯を製作し、調整していく所存です。
どうぞよろしくお願い致します。
2023/12/11
入れ歯専門技工士の関戸です。
入れ歯に使われる材料は、主に、プラスティックと金属、セラミックなどがありますが、金属というのは、やはり一番安定した素晴らしい材料だと言えます。
当医院も18年目になり、開業当初に金属床の入れ歯をセットされた患者さんが、定期的なメンテナンスに来られた時に、口の中で入れ歯がしっかり機能しているか毎回確認するのですが、18年経過しても、土台が金属で作られた入れ歯は、ぴったり安定して機能しています。
これは金属という材料の一番の特徴であろうと思われます。
息子と上野にある東京国立博物館に行ってきた際に、展示されている物は紀元前数千年前の物もたくさんあり、その中で金属が使用された展示物もいくつかありました。しかもきれいな形で残されているものが多かったです。
このような古い時代から金属は使われていて、そのうえ現在でもきれいな形を維持し続けているというのは、これは金属が材料的に本当に素晴らしく安定したものだと言えると思います。つまり形が劣化しにくいという特徴があると思います。
この特徴は、入れ歯にとってはとても重要な要素です。当医院でも、最終的な入れ歯として、院長もすすめることがあります。プラスティックの入れ歯は、削ったり追加したりできるので、調整しやすいという特徴がありますが、その反面、長期的に使用していくうえでは、プラスティックは変形しやすく破折や割れやすいという特徴もございます。
なので、プラスティックでさまざまな調整や試行錯誤を繰り返して、患者さんにとって一番良い形の入れ歯のデザインが完成したところで、最終物として金属製の入れ歯をお好みでおすすめするというかたちをとっています。
作り手の技工士としましても、プラスティックは長期的に見て、不安定さがあり、つまり変形しやすさがありますので、口の中の状態、特にかみ合わせも不安定になりやすくなります。
例えば、家を建築するのに、プラスティックの家か、金属製の家かどちらがしっかりしていて長持ちするかと言えば、明らかに金属製だと思います。
口の中も噛む力は60kgぐらいあると言われていますので、その力で何万回も噛み続けるとすると、丈夫な金属でないと耐えにくいのではないかと想像できると思います。
かぶせ物やブリッジは、ジルコニアや金属で作られているのにもかかわらず、歯がなくなったところの入れ歯の部分だけがプラスティックでいいと言うのも、おかしな話です。バランスが合わないと言えます。
むしろ歯がなくなって不安定な部分でありますから、最終的にはしっかりした金属で作るほうが理にかなっているかと思います。
現在、プラスティックの入れ歯を使い続けている方は、もしよろしければ金属製の入れ歯に改善されると、おそらくプラスティックよりもかなり満足感を得られるかと予想します。
当医院でも金属製の入れ歯に更新して良くなかったという人はひとりもいません。金属は薄くてコンパクトでピッタリとフィットしていますので、プラスティックと比べて、入れ歯をつけていてすっきりして気持ちいいという意見が多いです。ぜひ考えてみてください。
2023/11/07
入れ歯専門技工士の関戸です。
だんだんと歯が抜けてきたので、そろそろ入れ歯を作らないといけないけれど、歯が全部抜けてから入れ歯を作ったほうがいいんじゃないか? と考えてしまう患者さんもたくさんいらっしゃるようです。
入れ歯というと、総入れ歯だというイメージをお持ちの患者さんに、このような考え方の方がよくいらっしゃいます。
ですが、入れ歯は、総入れ歯だけではなく、むしろ部分入れ歯の患者さんのほうが圧倒的に多いです。
つまり、歯が数本残っている患者さんのほうが絶対数は大勢いらっしゃるということです。
ですので、全部歯が抜けてから入れ歯にするという発想ではなく、まだ歯が残っている状態でぜひ入れ歯にしてもらいたいと考えます。
その理由はいくつかあります。
まずは、その患者さんが本当に入れ歯を使えるようになるかどうかは、作って実際に使ってみないとわからないということです。入れ歯を口の中に入れて過ごすこと自体がそもそもできないという患者さんはごくまれですが、いらっしゃいます。うちの医院でも数名いました。
ですので、現状で一度入れ歯を体験してみるというのは、とても大切です。歯がすべて抜けてから、総入れ歯にしたときに、とても使えないという状況になったとしたら、大変です。入れ歯には、慣れというものが必要ですので、できるだけ小さめの入れ歯から始めるほうが、より使い慣れやすいと思います。
2つ目は、しっかりしていない歯が残っていたとしても、その残っている歯をうまく治療して、将来的に総入れ歯になったとしても、入れ歯をしっかり固定するための装置として有効に利用できるということです。
総入れ歯の患者さんはすべて歯がない患者さんだと思っていらっしゃるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。歯の根っこがしっかり残っていて、その根っこをうまく利用して、入れ歯を固定するための装置を、いくつもセットされている患者さんはたくさんいらっしゃいます。
そして、この歯の根っこがあることで、多くのメリットが生まれます。歯は抜歯と言って、根ごと抜かれると、ハグキがだんだん退縮していきます。ハグキの山が少なくなっていくのです。反対に、根が残っているとハグキの山しっかり残っていきますので、長期間ハグキが安定します。安定した状態のハグキで型をとって作った入れ歯は、当然、入れ歯として安定して使っていけます。
ぜひとも歯が残っていたら、抜けてからとか、抜歯してから総入れ歯にしようなどと考えずに、早めに入れ歯で生活していかれることをおすすめします。
2023/10/09
入れ歯をセットして、入れ歯の使い方にだんだん慣れてきましたら、さらにもう少しうまく入れ歯を使いこなしていただきたいので、いくつかポイントをお伝えします。
ここでは、大きめの入れ歯の患者さんについてお話します。大きめの入れ歯になりますと、何本か残っている歯よりも、口の中はほとんど入れ歯なので、入れ歯を中心とした考えで取り組んでいかれたほうがいいかと思います。
まず、食事をする時には、食べ物はやはりおいしく食べたいものですから、最初は好きなようにかじって食べていただいていいかと思います。その次に、食べ物が口の中でこなれてきた時には、左右のどちらか一方でかんでいる人が多いのですが、ぜひ反対側でかむようにしてほしいのです。
例えば、右ばかりでかみ続けていると、入れ歯はプラスティックですので、右側が極端にすり減っていきます。すり減るだけでなく、入れ歯がズレてしまい、あごが右に移動して、かみ合わせ自体が変化してしまいます。
入れ歯の人工の歯は、経年劣化ですり減ってきますので、できるだけ左右バランスよくかむということが大切なポイントになります。
ただ、今まで右でしか食べていなかった人が急に左でかめるようになるものではないので、最初はいつもの右でかんでもいいですが、食べ物がこなれて来たら、リハビリだと思って、少しづつ左でもかんでいく練習をしていただきたいのです。
もともとは右でも左でもかめるようなアゴをされていますから、だんだんと反対側も使えるようになってきます。その時に意識していただきたいのが、奥歯でかむという感覚です。
入れ歯は前歯に強くあたるとはずれやすかったり、動きやすくなります。ですから、できるだけ奥歯で食べ物をかむことを意識して使ってみてください。
そうすると、前歯でそうめんとか細い麺類などがかめないよという患者さんがたまにいらっしゃいますが、その時には、下アゴを少し前に突き出すような感じにしてもらうと、入れ歯が前に当たります。カチカチと上下にかんだだけでは、前歯にすき間があるかもしれませんが、下アゴを前に少し突き出すと、上の入れ歯や歯に当たるように作っていますので、それで細い麺類でもちぎれてくれます。ぜひコツをつかんでみてください。入れ歯はあくまで道具ですので、使い方をいろいろ工夫して使ってみてください。
2023/09/02
入れ歯専門技工士の関戸です。
はじめて入れ歯を入れられる患者さんですと、どうやってうまく入れ歯を使っていけばいいのか、よくわからないというのが、本当のところかと思います。
入れ歯は、ご自身の天然の歯とはちがって、プラスティックと金属でできた道具のようなものなので、どう扱えばよいのか?不安に思う方もいらっしゃると思います。
基本的には、慣れるためにできるだけ長い時間口の中に入れておいてもらいたいです。痛みがある場合にははずしても結構ですが、異物感やしゃべりにくいという問題であれば、2週間は話したり食べるのに慣れる時間がかかります。それまでに大きな変化やとても入れ歯を入れていられないという状況になれば、はずしていただいていいのですが、少しでも入れ歯を入れる時間が長いと、より慣れて使いやすくなっていきます。
口の中の舌や頬、唇、粘膜などがだんだん入れ歯に沿ってくるといいますか、馴染んでいきます。見た目に関しましても、当初入れた時よりも不思議と口に合ってきて、馴染んでくるのです。人間の適応力はすごいものです。逆に入れ歯を入れてない場合には、なかなか慣れるのに時間がかかってきます。
人それぞれのペースで慣れて行かれたらいいかと思いますが、食べられない状態は体全体に良くないので、しっかり食べられるようになるためにも、はじめは少し頑張っていただいて、入れ歯を使いこなすぞという気持ちで取り組んでいただけますと、ありがたいです。
しばらくしますと安定してきますので、それから入れ歯でかむコツというのも大切になってきます。
天然のご自身の歯は、1本1本独立していて分かれていますので、どこかの1本が悪くなっても他の歯に大きな影響を与えることはなく、悪い歯の治療だけを行えば問題ないですが、大きめの入れ歯の患者さんの場合には、入れ歯は全部の歯が一塊にくっついていますので、どこかのかみ合わせが悪いと、他の歯にもそのまま影響が出ます。
ですので、一カ所だけを見ればいいわけではなく、入れ歯全体を見る、そして残っている天然の歯との関係も見ないと、結果的にうまくいかないのです。
もしかしたら悪いと思っていた部分とは、まったく違った原因で入れ歯がうまく働いていない可能性もあります。その辺りの問題は、これまでの経験や診断力で正しい処置を行わないと、良い結果を出すことができません。道具である入れ歯の特徴を考えて、適切な処理を行えば、ほとんどの問題はすぐに解決されます。
治療の場合には、キズが治るのに、誰でも数日から数週間かかりますが、入れ歯は生きた体ではないので、処置さえ適正であれば、大半の問題はすぐに解決されやすいです。患者さんの話してくれる内容をしっかり聞いて判断できれば、それほど大きな問題ではないことが多いです。
入れ歯をすることになりましたら、あまり細かく心配せず、とにかく使って慣れていくということを基本に考えてみてください。それからまたより良い入れ歯に変化させていくことも可能だと思います。具体的には、見た目、形、異物感、噛みごたえ、発音のしやすさ、など。工夫できるところは、その都度、工夫していけます。ぜひ思っていることをお話ししてください。