入れ歯の洗浄方法
よく患者さんから「入れ歯のお手入れはどのようにするのがいいですか?」という質問を受けます。
通常のお手入れであれば、毎日、入れ歯専用ブラシか歯ブラシでそのまま何もつけずにゴシゴシ細かく洗っていただく程度で問題ないのですが、使用経過とともにみられる飲食物、タバコなどの着色は避けられませんし、殺菌消毒までしたい方にはこれでは不十分でしょう。
入れ歯洗浄剤なども有効な方法ですが、時間がかかることと、頑固な着色はなかなか落ちません。
いろいろなことを考慮して、私としては超音波洗浄器を使ってのお手入れが最もお勧めです。その最大の理由は簡単にきれいになるというところです。
超音波洗浄器はメガネ屋さんに置いてある、メガネ洗浄器のことです。あの金属の水槽にメガネを浸けて、ジリジリ音をたてながら洗う機械です。機能や性状は様々ですが、なかなかの優れものです。
気をつけないと器具に小傷がつくのが難点ですが、気をつければ解決できることですし、きれいに洗浄できることはそれ以上にメリットが大きいと思います。
一般に超音波洗浄器はあまり身近なものではないのですが、安いものなら1万円切るものもあります。機能的にお勧めできるものは2万円前後のものです。電器店で市販されているものから、歯科医院でしか購入できないものまで様々ですが、自分の使い方に合ったものを選べばいいと思います。
水か中性洗剤をうすめた液に浸けて1~2分くらい洗浄するだけで、きれいになります。
入れ歯洗浄剤を使う必要もありません。装置もシンプルなので、故障もほとんどありません。専用の洗浄液を使えばさらにきれいになります。
入れ歯の汚れの成分は細菌、蛋白、色素がメインです。これらのミクロの世界に大地震を起こすのが超音波だと考えてください(購入の際には、この振動の強さを選ぶことが大切です)。頑固な色素汚れは専用の洗浄液でなければ落ちない場合もありますが、通常のお手入れには、この超音波洗浄器は大変便利な機械です。
もちろん使い方を工夫すれば、入れ歯だけでなく、貴金属類、メガネ、時計の金属のベルトなども洗浄できますので、一台購入しておいても損はないと思います。
使用に際しての注意は先ほど述べた小傷が付かないよう工夫することと、専用の洗浄液を使ったときにはもう一度水洗いして洗浄液をきれいに落とすことが必要です。
ただし取り扱いは簡単なのですが、購入した際には、入れ歯はなにぶん口に入るものですから、専門家による取り扱いの指導を必ずうけてください。
知って得する!入れ歯の話