入れ歯に慣れるには
初めて入れ歯を作る患者さんの多くが、「私は入れ歯に慣れますか?」ということを質問されます。そんな時、患者さんの心の中では、「私でも大丈夫ですよね」という気持ちと、本当に不安で「大丈夫なんだろうか」という2つの気持ちがあるかと思います。
安心してください。そういった患者さんにはまず型どりだけして入れ歯を作ることをお勧めしています。入れ歯は私がいくら説明したところで慣れるものではありませんし、みなさんがいくら考えても慣れるものでもありません。とにかく作って試してみればいいのです。しかし、その際に歯を少しでも削ったり、抜いたりしたら、もう元には戻りません。みなさんは、やってしまった後、後悔することを一番心配されるのではないかと思います。
それならば、ひとまず歯を一切削ったり、抜いたりすることなく入れ歯を作って試してみればいかがでしょうか。慣れなければ、治療する前の状態にいつでも戻れます。そしてまた別のタイプの入れ歯を作ってみてもいいのです。慣れるまでこの繰り返しです。みなさんの反応や、感想を正しく判断することによってきっと慣れる入れ歯を探せるのではないかと思います。
私は、入れ歯は車や自転車にはじめて乗るようなものだと思っています。私が患者さんに説明する時の言葉をそのまま述べてみると、
「みなさんは車や自転車に、はじめからうまく乗れましたか?人の乗る姿を見ても、考えても乗れるようにはなりません。またはじめた時にはとても難しかったはずです。
初心者のころは、他人が乗っているところを見て神業だと思いませんでしたか?ところが、気がついたらなんということなく乗りこなしていると思います。また、非常に多くの人が車も自転車も運転しています。
入れ歯も同じなんです。自転車や車の運転をする位に、皆さんうまくなっていくものです。」
「歯科医師の役目は、その患者さんに合った良い車や自転車を提供して、乗り方を教えることだと考えてください。いろいろなタイプの車や自転車に乗って自分に合ったものを選んでください。実際、路上に出ていろいろ体験して、うまく使いこなせるようになっていくのは、運転者自身の方が良くわかるはずです。ブレーキがゆるんだり、チェーンがはずれたら私が修理して、より良くなるように改善していきます。」
入れ歯ガイド