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2016年5月 6日

入れ歯を入れても顎の骨(歯ぐき)は痩せません

「入れ歯を入れると顎の骨が痩せる(痩せてくる)。」という情報がまことしやかに巷でさささやかれており、それを否定する情報が出てこない、という患者さんからの訴えを受けて、急きょその命題を真っ向から否定するお話をしたいと思います。

 そもそもですが、現在入れ歯を入れている人を、入れる前から追跡調査することについてはいささか疑問なところがあります。というのはその追跡調査する歯科医院に定期的にかかっていながら、入れ歯になる前に治療できなかったのか?あるいは入れ歯になって全く歯周病を食い止められなかったのか?など、とにかくそこの歯科医院の腕はいかがだったのか大いに問題があります。
 誤解を恐れずに言えば、「もし入れ歯を入れて、本当に顎の骨が痩せるようなデータが出てくるようならば、その歯医者さん自身の腕が悪かったのではないか?」という結論すら導かれます。歯医者でありながら、なんら手を打てなかった訳ですので、そういう結論も考慮に入れるべきではないでしょうか。
 つまりこんな研究は結果ありきの研究と言えます(初めから結論を決めてそれに都合のいいデータしか採用しない研究のこと)。


 少なくとも、うちではそのような事実はないです。ないというからにはそれを証明しないといけないわけですが、それを証明するのは全体を撮影したレントゲン写真(パノラマ)と顎の模型の比較です。それらを現在と10年前(あるいは10年後でもOK)とを比較して患者さん自身がほとんど見分けがつかなければ痩せてないのです。
 驚くことに当医院では10年前の模型で入れ歯を作ってもおおむねフィットします。これは、うちでも特別に歯茎が痩せてるかどうか心配という人にやってみたことですが、これでようやく納得いただいた経緯がありますので、その証明方法として参考にしていただけたらと思います。

 もちろん、厳密には歯がすべて残っている人でも骨の退縮は避けられないのですが、肉眼レベルでほとんど変化がないことを証明すれば、十分だと思います。

 
 もう一つの疑問で、追跡調査において骨が痩せたという際のすべてのデータにおいて、全体のレントゲン写真(パノラマ)がないということです。歯ぐきが退縮したのか、本当に骨が痩せたのかは見た目では判断できないので、レントゲン写真は必須です。証明には、見た目に痩せたなどという、主観を排除しなければならないため、経年で追わないと何とも判断ができません。場合によっては入れ歯ではなく、全身疾患、合わない入れ歯を入れていた、実は歯ぐきが締まってきた、ぶよぶよの歯茎を除去する手術をしたなど、原因はいくらでも無限に考えられ、単純に入れ歯を入れていたから、歯ぐきが痩せたなどという結論は相当に乱暴です。
 
 これも誤解を恐れずに言えば、私は大学を出て基礎系の研究職についていたため、一般の臨床系の歯医者さんより、物事対してに疑問の余地を極力排除して、事象を証明することには長けています。「入れ歯を入れないと認知症になる(可能性がある)。」という命題も大嫌いです。じゃあ入れ歯を入れない人のほとんどは認知症になるのかと言われたら、「そうではない」はずです。例外はいくらでも探して連れてこれます。つまり、入れ歯を入れないことが、認知症になるのではなく、入れなくても平気な人はそのほかにもずぼらな面があるということで、例えばお風呂の回数、最近の新曲をいくつ知っているか?髪を切ったりするような、おしゃれに使う費用、人に会う時の身だしなみにかける時間、流行を気にするかなど、こういったことでも認知症の発症に差が出てくると思います。
 要は入れ歯を入れないで平気な人のメンタルの問題だと私は考えています。証明方法は今述べた、身だしなみなどの面でもデータを取れば、それが色濃く裏付けができると思います。
 入れ歯を入れないでいると、食べ物がよく噛めないので脳の発育に問題が・・・などとしょうもないことを言っている方は、優秀な研究職の人が、いかに早食いが多いか確かめてみるといいでしょう(昼食時間ほとんど取れないですから)。噛む噛めないより、考えないこと、いやなことから逃げることが大いに脳の発育に問題があります。
 夜更かしをする子は成績が悪いなどというデータもありますが、灘、開成などの生徒でも統計を取ってみるといいでしょう。そんな夜更かしをしないような、しょうもないことで成績は上がらないことがわかるでしょう。

 つまり、思い込み、主観、結果ありきで説明されていることはネットで大いに見かけますので、何を信じるかは自由ではありますが、皆さんにはその真の狙いを見抜く目をもっていただきたいです。

 「入れ歯を入れると顎の骨が痩せる(痩せてくる)。」と宣伝して得するのは誰でしょう?ということです。そしてそう唱えている人が、入れ歯の代わりに何が良いと言っているのかです。そういう目で見ると・・・真実が見えるかもしれません。なにせ真実を追求するわけではなく、結果ありきのデータですからね。


 
 
 

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プライベート歯科横濱
院長 脇田一慶

院長 脇田一慶

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https://www.ireba-yokohama.com/

入れ歯治療は、歯科治療の多様な診療技術が盛り込まれた、いわば歯科治療の真髄ともいうべき分野です。私は、研究者として入れ歯や歯科治療について知り尽くしていると自負し、将来を見据えた価値のある入れ歯治療に取り組み、現在も日々研鑽し学び続け、常に最善の治療をご提供できるように努力しています。

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